野木亜紀子の近作『海に眠るダイヤモンド』でも描かれた「繋がり」
野木が直近に手がけたドラマ『海に眠るダイヤモンド』(2024、TBS系)は、70年にわたる壮大な物語であり、本作よりもスケールは遥かに大きい。だけど、描かれていたのは、高度経済成長期に炭鉱で栄えた長崎県の端島で一瞬一瞬を懸命に生きた人々の小さな営みであり、それが巡り巡って現代の東京で空虚感を抱えながら生きていた1人の若者を変えていく様だ。
たとえ子供を残さず、ただ1つの命として消えたとしても、その小さな営みは誰かや何かに影響を及ぼし、世界の一部となって自分がいなくなった後も残り続ける。
その繋がりを感じることができたならば、1人の時でも盆石と向き合っている時のような、心地よい静寂を味わえるはず。誰の声もしなくて静かだけど、不思議と満たされている感じがしたら、きっとそれを「侘び寂び」というのだろう。
(文:苫とり子)
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