尾野真千子の新たな一面
尾野真千子が演じているのは次女の巻子。学生のふたりの子どもがいる専業主婦で、夫・里見鷹男(本木雅弘)の浮気に気づいている。しっかり者を装っているけれど、内面はデリケート。昨年放送『ライオンの隠れ家』(TBS系)で演じた橘愛生役から、新年も尾野の演技を見られるとは、幸先がいい。
今回の巻子役、「こういう演技もあるのか」と彼女の新しい一面が見られる。良かったのは夫が出張と偽って、不倫相手と会っていたことを知った回。自分をコントロールできなくなった巻子が万引きをしてしまう。やや錯乱状態の巻子の機微を尾野らしい演技で表している。
蒼井優演じる、三女の滝子は図書館に勤務する真面目一徹タイプ。化粧っ気はなく、眼鏡をかけて、いつも髪をキュッとひとつ結びにしている。確かに遊び心は少ないけれど、姉妹のことを一番気にかけているのが滝子だ。
そんな三女が恋愛をする。相手は父親の浮気調査依頼をした興信所の調査員・勝又(松田龍平)で、この男が本当に優しく、登場人物の男性で唯一と言っていいほど浮気をしないタイプ。このふたりの恋が進んでいく様子だけは、あたたかい目で見守ることができる。物語全体をひと言で括ると、ドロ沼系の話なのでこのふたりにターンが中和剤というところだろうか。