唐沢寿明&鈴木保奈美
約33年ぶりのコンビ復活
庵野の特筆すべきところは、“経済的復讐”を宇佐美の失脚としていないところだ。株券を買い取れば、不正のすべてを口外しないことを約束する。たしかに宇佐美は大金を失うが、上場予定の会社が無事上場すれば、資産も膨れ上がる。
宇佐美にとって決して悪い話ではなく、むしろ礼を言うべき条件なのだ。正直、久美子側は店存続の危機にまで陥ったのだから、倍返し的に借金以上の金額を吹っ掛けてもいい気がするのだが…。相手の破滅ではなく、あくまで問題の解決に導くことが庵野の役割なのだろう。そこに徹底しているのも気持ちがいい。
丈洋の要望をクリアした庵野は、「資産を一族から守ってほしい」と新たな依頼を受ける。先の長くない丈洋がいなくなったあと、一族による“戦争”が勃発するというのだ。骨肉の争いの始まりを告げるかのように、長男・努(安井順平)が意識不明に。次回からはサスペンス要素も加わって、さらに物語の重厚さが増していくのだろう。
「命金には手を出すな」など真面目な格言が飛び出したかと思えば、ユニークな謎かけを披露するミステリアスな庵野。そして、金融素人のとにかくがむしゃらな久美子。まるで正反対な2人の相性も気になるところだ。地上波ドラマでは『愛という名のもとに』(1992、フジテレビ系)以来、約33年ぶりに復活する唐沢&鈴木コンビ。刺激的なマネーゲーム、リアルな学びとともに、とくと堪能したい。
(文・西本沙織)
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