鴻田(奈緒)にもトラウマが?

『東京サラダボウル』第2話 ©NHK
『東京サラダボウル』第2話 ©NHK

 誤訳…といえば、有木野は自身が通訳人として聴取に立ち会った事件で、「なんで殴ったのか?」という刑事の言葉を“なぜ”と“なにで”のどちらの意味であるかを確認するほどの丁寧さを見せていた。

 前回の事件で知り合った中国人留学生・シェン(許莉廷)に、通訳人が用いる逐次通訳という手法はニュアンスが変わらないように言葉の順番にまで気を遣うと説明してはいたものの、文脈で判断できそうな「なんで」の意味まで、すべての通訳人が確認するとは思えない。これは誤訳に関するトラウマがあるからだろう。

 トラウマならば、鴻田にもありそうだ。安藤にナイフを向けられた鴻田は、血まみれのナイフを思い出し、動けなくなってしまっていた。刑事になった理由、そして、偏見を持たずに困っているすべての人を助けようとする正義の根源は、ここにあるのではないか。

 かつて行きつけだったバーを訪れた有木野は、「Satoru.O」というネームタグのついたボトルに残った酒を飲む。おそらく、これが週刊誌報道の果てに命を落とした人物。空になったボトルに、有木野は何を思うのだろう。

 パワフルな鴻田と、冷静な有木野――。猪突猛進する奈緒の手綱を、松田龍平が握るという構図でも十分に見応えがありそうだが、それだけではない2人の背景が、静かに浮かび上がってきた。まだまだ面白くなりそうだ。

(文・あまのさき)

【関連記事】
【写真】奈緒&松田龍平コンビの相性最高…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『東京サラダボウル』劇中カット一覧
奈緒&松田龍平コンビから目が離せないワケ。気になる初回の評価は? NHKドラマ『東京サラダボウル』第1話考察レビュー
国民が大論争…ファンが真っ二つに分かれた伝説のドラマ5選。2人のカリスマが人気を二分…社会現象を巻き起こした作品たち

【了】

1 2 3
error: Content is protected !!