名前はその人の全てではないけれど…。
2つ目の見どころは、”名前の小事さと大事さ”だ。
今回の犯人は“営業”の亀山薫だったのだが、彼は被害者と同姓同名なのをいいことに、被害者に成りすまして金持ちアピールやナンパを繰り返していた。しかし、それが被害者にバレて糾弾されたことで、殺害に至ってしまった。
同じ名前なのに、どうしてここまで差がついてしまうのか。“営業”の亀山薫は訴えるが、当然ながら同じ亀山薫でも、特命係の亀山薫は、同姓同名の存在に左右されることなく実直に生きており、大事なのは名前ではなく人間そのものである事を体現している。
では、名前は単なる記号で、無価値なのかというと、そんなことはない。
“シェフ”の亀山薫は、幼い頃に経済的事情から養子に出されており、実母である鈴木純子が息子を探しだすため、“役所”の亀山薫と偽ってパーティーに参加。そして両者は再会を果たすのである。
そこで“シェフ”の亀山薫の“薫”は、「5月生まれて薫風が吹いていたから」という由来が明かされる。
名前はその人の全てではない。けれども、名前には親の愛情が込められているのだ。
次回、第12話は、6年ぶりに真野勝成が脚本を担当する。
彼の担当回は、『相棒』ファンの中では賛否両論なのだが、『相棒』愛が強く、レギュラー陣の設定を活かした重厚な物語に定評がある。筆者は彼の担当回は賛成派なので、楽しみに待ちたいと思う。
(文・Naoki)
※なお、本記事上で「亀山」は42回登場している(タイトル・見出し含む)。
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