鈴子のウソと心の闇

『フォレスト』第2話©ABCテレビ
『フォレスト』第2話©ABCテレビ

 鈴子は周囲の人たちを支配しているが、孤独だと思う。「ウソは一度でもつくとね…もうほかの誰のことも信用できなくなってしまうの、それが…ウソをついたことの一番の不幸であり罰なのよ」と、前回の放送で持論を展開していた。この台詞は鈴子が自身について語ったものだと本放送で気づいた。

 また、本放送では、鈴子は「体が半透明っていうか、スケルトンになったら悪い所が全部見えて楽じゃない?」と、自分を診察する塔子に問いかけていた。そして、「本当全部見えたらいいのに。体の中も…心の中もね」と最後に切実そうに付け加えていた。

 鈴子は他人の心を信じられないのだろう。さらに、秘書に打ち明けていたように、自分をうらむ人たちの存在も感じている。誰かのうらみや怒りを感じながら生きるのは怖いし、辛い。

 鈴子にとって一番かわいいのは自分だ。彼女が楓に言った「人間なんて結局自分が一番かわいいものよ。でも私はそれをおかしいとは思わない生き物とはそういうものよあなたもね」という言葉が裏付ける。

 他人の不幸を顧みない生き方の根底には自己愛があるものだが、こうした生き方は自分を傷つける恐れもある。人のうらみを感じ、猜疑心にとりつかれ、ウソをついた“罰”を受けながら生きている鈴子のように。

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