明らかになった純のウソ
楓と純(岩田剛典)を“亮介”と呼ぶ茜(黒沢あすか)をつないだのは緑森苑からの電話であった。楓は自宅の電話の受話器をとると、「一ノ瀬亮介さんはいらっしゃいますでしょうか?」と緑森苑のスタッフから聞かれた。楓はいぶかしく思いながらも、“亮介の妻”と偽り、深い森を彷彿させる名のケアハウス“緑森苑”に向かった。純にまつわる真相解明に近づくために…。
茜は楓から亮介の妻だと聞くと表情が明るくなった。息子の愛する人を快く受け入れている。しかし、楓の「一ノ瀬純という方をご存じですか?」という問いにより、茜は嫌な出来事がフラッシュバックしたのか気が動転した。
純が楓に説明した話によると、彼は母親の前では弟の“亮介”と自分を偽っている。ある年の母の誕生日、純は母のために野花を摘む弟を置いて花屋に行った。そのことが原因で、弟は帰らぬ人となった。茜は純を亮介と思い込むようになり、純は母の前では“亮介”として生きているという。
純は母にウソをついているわけだが、このウソは“誰かのため”のウソだ。母が辛い現実から目を背けられるようウソをついている。いや、“自分のため”のウソの可能性もある。母の前では弟の亮介として生きることで、弟と母に対する罪悪感を無意識に緩和させているのかもしれない。
また、純は“身寄りがない”と周囲にウソをついているが、母から存在を認められていないことを鑑みるとあながちウソでもないような気がする。母から“自分として”愛されず、さらに鈴子との間に何かがあるとすれば凄絶な境遇にある青年だ。
(文・西田梨紗)
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