ドラマ『フォレスト』第3話考察&感想レビュー。岩田剛典“純”がますます怪しい…恐怖心を掻き立てる怪演に身震いしたのは?【ネタバレ】
比嘉愛未&岩田剛典がW主演を務めるドラマ『フォレスト』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が放送中だ。本作は、仲睦まじいカップルが、お互いについていた「嘘」によって、人間不信の森(フォレスト)へ迷い込んでいくラブサスペンス。今回は、第3話のレビューをお届け。(文・西田梨紗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西田梨紗】
アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。
鈴子(松田美由紀)の抱える”罪”とは?
『フォレスト』はウソがうずめく暗い森(フォレスト)に迷い込んだかのような錯覚にとらわれる作品だ。3話の舞台は鈴子(松田美由紀)の屋敷で開催された彼女の誕生日会。ローストポーク食中毒事件の手掛かりや、純(岩田剛典)がブランフォレストを気にかける理由も明かされた。
鈴子のもとに届いた匿名の手紙には、自身の誕生日会を開き、家族や親しい人を招待しなければ、あなたたちの罪を白日のもとに晒す、と書かれていた。ワンマンである鈴子が、手紙に従って誕生日会を前倒しで開催したのは、彼女が何らかの”罪”を意識しているからに他ならない。
誕生日会には純、楓(比嘉愛未)、孝子(ふせえり)、真琴(ファーストサマーウイカ)、顧問弁護士・和彦(森田甘路)、秘書・修(堀部圭亮)、医師・塔子(水野美紀)がそろう。楓を除く参加者は鈴子を笑顔でおだてて持ち上げているが、誕生日会の雰囲気は重々しく、参加者全員の笑顔がウソっぽい。
鈴子が参加者からのプレゼントを一通り開封したと思いきや、白い箱が1つ残っていた。不審に思った鈴子が、修に箱を開けさせると、その中には腐ったローストポークが入っていた。3年前、中西精肉店の店主を自殺に追い込んだ事故を暗示するものである。
鈴子は不審なプレゼントを秘書・修に開けるよう命じたところに、自らの危険回避のために他人の犠牲を厭わない性格が垣間見える。自分の安全第一という生き方が象徴されたシーンだ。修は表面上は快く応じているが、こう扱われていては心で何を思っているのか分からない。
鈴子は手紙の差出人が言う“罪”とは何かと参加者に問いかけ、名前を指名し、回答を求める。名を呼ばれた者は曖昧な返事しかしない。彼らは“罪”を十分すぎるほど分かっていたが、鈴子を気遣い口にはしない。
そうした中、楓は声を上げる。「3年前のあの事件です。食中毒の責任を全て中西精肉店に押しつけた。そして1人の人を死に追いやった。もちろん逃げた私も同罪です」ときっぱりと述べていた。
楓はローストポーク食中毒事件について責任を感じている。楓は「それなのにどこかで忘れようとしてた。このまま純と2人幸せに暮らせたらいいとまで思ってた」と、第2話で真琴に打ち明けていた。被害者を思うと自分が幸せになることに後ろめたさを感じているのだ。
楓は鈴子を遠ざけているが、母の存在は彼女の心にいつも存在している。楓は母から逃げつつも、呼び出しに応じている。また、スマホの電話帳に「母」と登録しているように、口では「あの人」と言いながらも、結局はたった1人の母親なのだ。子どもは親の呪縛から解き放たれるのは難しいとよくいわれるが、楓もその1人であろう。
母と娘との情緒的結びつきは特別だ。人生の指針と本来ならばなりうる母を拒む女性の多くが孤独を感じている。楓も純と出会っていなければ暗い森を1人彷徨うように、この世界を歩いていただろう。
楓は母親の不正の証拠を集め、告発する覚悟もあるが、2人の関係はどのように変化していくのだろうか。