「相続」は「争族」とも

『相続探偵』第1話 ©日本テレビ
『相続探偵』第1話 ©日本テレビ

 遺産を得るために、生前は見向きもしなかった遺族たちが集まり争う。ゆえに、遺産の「相続」は「争族」とも揶揄されるという。

 何も「相続」はフィクションの世界だけのものではない。人は必ず死ぬものだから。だから、世の中のあらゆる人にとって「争族」は身近なもので、1話で描かれた諍いも他人事であって他人事ではないのだ。

 そんな問題を解決していったのが灰江。飄々としていて、冒頭から人の葬儀で飲み食いをして、コーヒー豆をバリバリと頬張る姿は何となく信頼するのが難しい印象を抱かされるが、推理力はぴかいち。

 実際には今畠は桜庭に無理やり遺書を書かされ、日常的に虐待を受けていたことも明らかにする。さらに、今畠が遺した本当の遺言書を見つけ、家政婦・下島美代子(田中真弓)に1億円を残し、残りは貧困国のために尽力している財団に全額寄付するという、故人の遺志も解き明かすのだった。

 当然、桜庭や三姉妹は納得しないが、ここで初めて灰江が声を荒げる。「さっきも言ったろ!」という言葉は今畠先生の人生を踏みにじることは許さないという強い思いの表れ。

 灰江が「死人に口なし」を何よりも嫌い、そこに確固たる信念があることが十二分に伝わってくる。だからこそ休学中の医大生・アシスタントの三富令子(桜田ひより)と元警視庁科捜研のエース・朝永秀樹(矢本悠馬)も力を貸している。

 変人ではあるけど、一本芯が通っていることがわかり、共感か応援かはわからないが、私たちは灰江を温かい目線で見守っていくことができそうだ。

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