NHKドラマ『東京サラダボウル』第4話考察&感想レビュー。感動のラスト…松田龍平”有木野”のポーカーフェイスが生きたワケ【ネタバレ】

NHKドラマ『東京サラダボウル』が放送中。本作は「クロサギ」の黒丸による原作漫画を実写化。国際捜査の警察官&ワケありの通訳人のコンビが、様々な事情で日本に暮らす外国人居住者の問題に挑む。今回は、第4話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

誘拐事件の全貌は――。

『東京サラダボウル』 第4話 ©NHK
『東京サラダボウル』 第4話 ©NHK

 原嶋俊が誘拐されて日が経つのに、いまだ捜査に進展はない。両親はそろって憔悴しきっていたが、特に父の幸次(浜野謙太)がトイレで嘔吐していたのは、借金返済のために深く考えもせず戸籍を売ってしまったからだろう。俊が誘拐された原因は、そこにあるかもしれないのだ。

 そのころ、鴻田(奈緒)は相変わらずドラッグストアに潜入捜査して、度々買い物に訪れるワン(張翰)との親交を深めていた。子どものために慣れない外国で懸命に生きている人を応援したい気持ちはわかる。だが、次にいつやってくるかもわからないお客さんのために中国語で手紙を書き、差し入れを用意しておく思いやりの深さはどこからくるのだろうか。

 ワンのことを「いい父親」と思っていた鴻田が疑問を抱いたのは、ドラッグストアにオムツ強盗がやってきたときのこと。お会計をせずに店を出ようとする犯人を取り押さえた鴻田が、「警察です」と言ったことで、ワンは顔色を変えて走り去ってしまった。子どものために買ったものすら置いて。

「お父さんがいい人なのか悪い人なのかわかんない」。いつも着ている作業着に書かれた名前を頼りにワンを探し出した鴻田は、ワンが忘れて行ったものを手渡しながら、困惑した表情で言う。

 子どもの名前を大事そうに教えてくれたときの表情と、警察と聞いて逃げ出したときの焦り。どちらもワンで、鴻田が実際に目にした姿だ。だからこそ、そこでワンを問い詰めるのではなく、「どうにもならないことがあったら連絡して」と自分の名刺を差し出した。これが、いま鴻田にできる精一杯。

1 2 3 4
error: Content is protected !!