鴻田「ユーハンがあなたを守ってくれました」

『東京サラダボウル』 第4話 ©NHK
『東京サラダボウル』 第4話 ©NHK

 結局、未成年者略取・誘拐罪での送検は見送られた。移送されるワンに、鴻田は「ユーハンがあなたを守ってくれました」「だから、必ず生き続けて」と、有木野を介して伝える。たしかにそうだ。ワンがユーハンの面影を見ず、自国に帰ることに囚われてしまっていたら、今頃はどこかに売り飛ばされ、命はなかったかもしれない。

 並みの人間ならこの伝言を涙なしには伝えられないだろうが、有木野は「在留期間を補足する」と周りの刑事たちに断り、淡々と通訳する。こんなところでポーカーフェイスが生きるなんて。

 ただ、有木野も鴻田と過ごすにつれて変わってきているようだ。今回の一件を「ありきーのの手柄だと思ってるよ」と繰り返す鴻田に、「しつこいな」と言ったとき、ずいぶんと遠くからの画角だったため表情がよくわからなかったが、笑顔だったように見えた。その笑顔を、わたしたちも見られる日がくるのだろうか。

 不法滞在者、ではなく、彼らも1人ひとりの人間。だからこそ、ボランティアがまるでビジネスのように、彼らの弱みにつけ込んで犯罪組織に売り飛ばしているのならば検挙しなければならない。東新宿署は最優先でこの事案に当たるという。その線上に、有木野が4年前に肩を寄せ合っていた織田(中村蒼)の一件も絡んでくるのかもしれない。

(文・あまのさき)

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