キャラクター同士の“対立”はドラマに本当に必要?
耕助の嘘に気付いた優太だが、そのことを決して責めたりしない。葵(草川拓弥)に「耕助から何か聞いてる?仕事のこととか」とそれとなく探りを入れても、 耕助が仕事を辞めたという事実は葵に告げることはなかった。
そんな耕助に、「よくわかんないけど、直接聞けないような話だったら聞かなくていいんじゃないの?とりあえず見守ってやりゃあいいじゃん。それが友達ってもんでしょ?」とアドバイスを贈る葵。
どんなに大切な人であっても、言えないことはある。嘘にも色んな種類があって、時には相手や自分を守るために必要だったりするのだ。それを無理に聞き出そうとせず、相手が言えるようになるまでじっと待つことができたら、2人の間に嘘があっても関係は成り立つ。
優太がそういう姿勢でいたから、耕助も安心して本当のことを話せたのではないだろうか。
耕助から仕事を辞めたことを改めて打ち明けられ、「知ってた。黙っててごめん」と素直に謝る優太。それに対して、耕助が「知ってたなら言ってよ」と怒ったりしないのもいい。2人は、ほんの少しの気まずさを笑い合って吹き飛ばし、普段通りに今夜の晩餐を作る。
ドラマにはキャラクター同士の“対立”が必要だと言われる。だが、時に興醒めや傷つきを生む安易な対立を描かなかったところに誠実さを感じた。そんな本作にはグラタンのようにホッとする味わいがあり、毎週水曜日の夜は心がここに帰りたくなる。
(文・苫とり子)
水ドラ25「晩餐ブルース」
テレ東ほか 毎週水曜 深夜1:00~深夜1:30
各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」「TELASA」「J:COM STREAM」「milplus」「Prime Video」 にて順次見放題配信
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