唐丸を脅迫する怪しげな浪人（高木勝也）

　しかし、ある日、唐丸の前に怪しげな風貌の浪人（高木勝也）が現れる。男は唐丸の過去を知っている様子で、唐丸に「教えてやろっか？おめぇがどこの誰で、あの日、何をしたか…」と迫るのだ。その時、唐丸が見せた表情から察するに、記憶がないというのは嘘で、蔦重たちに何か隠したい過去があるのだろう。

　そんな唐丸を男は脅迫し、引手茶屋の銭箱から金を盗ませる。次郎兵衛（中村蒼）が抜けていることもあり、金が減っていることをどうにかごまかした唐丸。しかし、1回で終わるはずもなく、男は何度も金をせびりにやってくる。さすがに蔦重も異変に気付き、それとなく唐丸から悩みを聞き出すが、何も言わなかった。

　しっかりしているとはいえ、まだ12歳。唐丸も本当は蔦重に助けて欲しかったに違いない。けれど、唐丸は過去に死罪にもなることを犯しているようで、男から奉行所に訴えれば、蔦重や次郎兵衛にも害が及ぶと吹き込まれていたのだ。

　それに、唐丸は蔦重が本作りを通してビジネスの才を開花させていく姿を一番近くで見てきた。子供ながらに蔦重がいずれでっかい人間になると確信し、迷惑はかけられないと思ったのではないか。