中園照生(小野了)の矜持に惚れる

『相棒 season23』第14話 ©テレビ朝日
『相棒 season23』第14話 ©テレビ朝日

 2つ目の見所は、”中園照生の矜持”だ。

 中園は、部長からは虐められ、家族は自分抜きで海外旅行へ行き、部下は自身が行方不明になっても真面目に探してくれないなど、踏んだり蹴ったりである。しかし、彼は誘拐されても犯人へ命乞いなどせず、警察官として一度として屈しなかった。

 それどころか、犯人が江梨子との浮気を脅迫され「家族を大切にしている」と胸を張って宣言してみせた。

 前述した娘の中学校への警護以来の件でも分かるように、中園は携帯の待ち受けを家族の写真にし、それを見ながら日頃の上司のパワハラに耐え、さらに娘からのプレゼントを大切に持ち歩いている立派な”お父さん”なのだ。

 また、江梨子が元夫のストーカー行為に怯えている様を見ても、その美貌に惑わされることなく、毅然と対応し、優しくカウンセリングを勧めている。ところが当の江梨子は、元夫を殺害しており、庭に埋めた死体が気づかれないように、中園を盆栽教室から辞めさせようしていた。そのために、同じく教室に通い、自身に惚れていた小宮山とトラブルを起こそうと画策したのである。

 しかし、辞めさせようとしたのは、警察である中園に勘付かれることよりも、中園の優しさに絆されて自白するのを恐れてのことだった。職場でも家庭でも評価されない中園だが、皮肉にも殺人犯の心は奪っていたのである。

 最終的に、部長の態度は少しだけ優しくなるというオチも、救いになっていて良い。

 気になるのは、右京は果たして、中園に何を言おうとしたのか…。無事を喜ぶ労いの言葉か、それとも今回の事で見直したという不器用な褒め言葉か…ファンとしては想像が尽きない。

 欲をいえば、あの中園にあそこまで言わせた中園ファミリーについてもっと描いて欲しい。これまでも中園が家族を想う描写は数あれど、その逆は、あまり無いのだ。彼が家族に優しくされる場面を、是非とも観てみたい。

(文・Naoki)

TVer(ティーバー)での視聴はこちら。

【関連記事】
【写真】相棒史上初の超レア回! 貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『相棒 season23』劇中カット一覧
『相棒』史上最高の神回は…? 約400話の中で最も面白いエピソード5選【亀山薫編】シリーズの歴史に残る傑作をセレクト
史上最高の『相棒』スペシャル回は? 最も面白い神回5選。見応え抜群…後世に渡って語り継ぐべき傑作をセレクト

【了】

1 2 3
error: Content is protected !!