獣医師を目指す理由
最初は聡里も仲良くなろうと努力していたが、父が単身赴任でいなくなると、継母の友梨(小林涼子)は有紀子のものを次々と処分。犬アレルギーになったと理由をつけ、パールのことまで手放させようとする友梨に聡里は必死に抵抗した。
家に引きこもるようになったのは、学校へ行っている間にパールが捨てられるんじゃないかという不安から。狭い部屋で彼女はずっとパールを守っていたのだ。
ある日、家を訪れたチドリがその窮状に気づき、聡里とパールを引き取った。そして、「パールのような動物に携わる仕事はどう?」というチドリの言葉をきっかけに、聡里は獣医師を目指すことに。大学の合格発表の日、パールは聡里が合格したのを見届け、安心したかのようにこの世を去ったという。
筆者も幼い頃から犬を飼ってきたが、そういうことはよくある。亡くなる時に大好きな人が帰ってくるまで待っていてくれたり、泣いているとさりげなく寄り添ってくれたり。
動物たちは愛情深く、言葉は喋れないけれど、一生懸命気持ちを伝えようとしてくれる。その声をちゃんと聞いてあげたいという思いから聡里は獣医師を目指した。亡き母が買ってくれたケーキの箱に入ったパールの骨は、そんな聡里の決意の表れでもある。