動物側に立つと人間のエゴが分かる
聡里が綾華と話した翌日、箱は花とともに窓際に飾られていた。人間は動物と違って、言葉を話せる。その言葉で人を傷つけることもあるが、人とわかり合うこともできると知った聡里。
2人は唯一無二の親友となり、最初は冷たい印象だった綾華もリラの花が咲く頃にはすっかり聡里に心を開いていた。
他にも同じく同級生で、大好きな鳥のことを話し出すと止まらない鳥類オタクの久保(萩原利久)、誰からも慕われるしっかり者の静原、優しくて頼り甲斐のある男子寮の寮長・加瀬(佐藤寛太)など、聡里を取り巻く人たちは個性的で性格はバラバラだけど、温かい心の持ち主だ。そして聡里も、チドリは心配していたけれど、そんな仲間たちとの関わりの中で動物もヒトも大好きな本来の自分を取り戻していく。
しかし、世の中は優しい人ばかりじゃない。新入生を歓迎する白樺祭の日、聡里は山中に捨てられ、怪我をしている犬を見つける。下ろし立てのワンピースが汚れるのも構わず、犬を助けた聡里は近くにある動物病院の院長・久恒(山崎静代)へ。
そこで、「動物側に立つと人間のエゴってのがよくわかる。気をつけて、獣医学を学んでいるうちに人間のことが嫌いになることもあるから」と釘を刺されるのだ。
その直後、聡里は人間不信になるような出来事に遭遇する。夏のある日、静原の母の実家が経営する牧場で“雪の妖精”という意味を持つフェアリースノーという馬の出産に立ち会うことになった聡里。静原の叔父に託され、生まれてくる子馬に亡き愛犬・パールの名をつけた彼女は同行した久保や加瀬たちと「スノーパールの成長を見守っていく」と誓うのだった。