あっという間に次回は最終回…。

『リラの花咲くけものみち』 第2話 ©NHK
『リラの花咲くけものみち』 第2話 ©NHK

 そんな中、聡里は初めての恋をする。相手はすっかり仲良くなった久保…ではなく、加瀬(佐藤寛太)だ。学生の時というのは、先輩がやたらとかっこよく見えるもの。それに、加瀬はとにかく優しい。

 入学したての頃から聡里を気にかけてくれていたし、獣医師に向いていないと悩んでいた時に「岸本(聡里)さんは岸本さんのやり方でやればいい。絶対にしなくてはいけないことなんて、この世の中には一つもないんだよ」と上級生らしいアドバイスをくれた。

 その加瀬から就活に専念する自分の代わりに、久恒(山崎静代)の動物病院でバイトしないかと誘われた聡里。信頼されたことが嬉しくて、自分の恋心に気づくが、加瀬と静原の親しげな姿に親しくしている姿を目の当たりにしてしまう。

 落ち込む聡里を励ましてくれたのは久保だ。「(加瀬と静原は)ただの友達かも。僕たちも仲良しだけど、ただの友達だろ?」と、ダメ元でも想いを伝えてみてはと聡里に告げる。その言葉に、自分自身が傷ついているように見える久保の姿が切ない。彼はおそらく、聡里へ恋心を寄せているのではないだろうか。聡里も加瀬に想いを伝えるほど、気持ちがまだ育っていなかったのかもしれない。

 初めての友達、初めての挫折、初めてのバイト、初めての恋に失恋。新しい世界に触れる聡里の鮮やかな感情を、山田杏奈が瑞々しく繊細に、時にコミカルにと豊かな表現で見せてくれている。その姿に胸がキュンと高鳴る本作。

 あっという間に次回は最終回だ。聡里の夢と恋の行方もそうだが、彼女に隠れて薬を飲んでいるチドリの体調が気がかりで仕方がない。

(文・苫とり子)

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