”絶対”は口にすべきか、せざるべきか

『119 エマージェンシーコール』第4話 ©フジテレビ
『119 エマージェンシーコール』第4話 ©フジテレビ

 雪の「絶対に助けますから」という言葉に、ネガティブな反応を示した与呉。「無責任に希望を持たせる方が残酷」と訴える彼は、どこか“絶対”の言葉に恐れを抱いているようにも感じる。

 というのも、与呉には救急救命士時代のトラウマがあった。カフェでガス爆発が発生した際、瀕死状態の父親とその娘に出会う。

 娘を安心させるため、そして「救いたい」という純粋な気持ちから、「絶対に助けるから」と告げる与呉。だが、与呉の必死の蘇生措置もむなしく、父親は帰らぬ人に。娘からは、「助けるっていったのに」と責められてしまう。

 少しの希望は、残酷である…。与呉は、それを身をもって知ってしまった。だからこそ、熱い気持ちを持ちながらも、心にブレーキを踏んでしまっているのだろう。

 一方で、雪にとって“絶対”は、過去の経験から勇気をもらえる言葉となった。与呉の場合は助からなかったから、雪の場合は助かったから…。結果論ではあるけれど、“絶対”を口にすべきかせざるべきか、深く考えさせられてしまう。

 雪が憧れる堂島信一(佐藤浩市)は、そんな“絶対”にまつわる問題に、「時と場合による」とひとつの答えを提示してくれた。本当に助けたいと思ったときは、どうしたって言葉になってしまうもの。とてもシンプルなことなのだ、とふっと心を軽くしてくれる。

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