大河ドラマ『べらぼう』考察&感想レビュー。もっとも魅力的な敵役は? 類稀なる「たくらみ顔」を披露したキャストとは?【ネタバレ】

text by 田中稲

横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が放送中だ。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く本作。今回は、第4話~第6話のお話を史実も交えつつ、多角的な視点で振り返る。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

片岡愛之助が妙演で魅せた蔦重(横浜流星)との関係

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第6話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第6話 ©NHK

 毎週日曜日はイキがいいぜ! 手の平を90度に曲げ鼻に当て「てやんでぃ!」と言いながら観てしまう大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。

 主演は横浜流星だが、この時間は彼の名前を忘れ、蔦屋重三郎、その人を見ている感覚である。まさに、役を生きている!

 第3話では女郎を花に見立てた「一目千本」を作り、大成功させた蔦重。第4話は女郎に入金させず錦絵を作ろうということになるのだが、世の中、そうそううまくは問屋がおろし大根。彼を応援していたはずの地本問屋、鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)が、蔦重の手腕に嫉妬と脅威の念を抱くのだ。

 江戸の町にのんびりなんてぇ暇はなし。大騒ぎの4話から6話を振り返ろう。

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