ちょんまげレジェンド・片岡愛之助の凄み

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第6話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第6話 ©NHK

 さて、吉原パートに話を戻そう。第6話は切ない別れが描かれる。蔦重の師匠、鱗形屋孫兵衛が「早引節用書」のニセ版で捕まってしまうのだ。

 蔦重の「一目千本」に嫉妬し陰で足を引っ張る展開もあったが、本への愛情は本物。そんな複雑な孫兵衛の人柄を、レジェンド・オブ・ちょんまげである片岡愛之助が巧みに演じている。

 ニヒルな微笑み、睨み、落ち込み、すべての表情がもはや現代人にあらず。時代劇にこの人が出るだけで本当にタイムスリップした感が出る。

 江戸っ子に合う楽しい本を作りたい。「青本はつまんない」という蔦重の言葉に初心に戻り、売れる青本づくりを蔦重とディスカッションする表情は、第3話で「一目千本」作りに夢中になる蔦重と同じくらい楽しそうだ。だからこそ辛い。
今後、鱗形屋はどう描かれるのか――。

 ちなみに、片岡愛之助は昨年11月、舞台リハーサル中、上あごと鼻骨を骨折し、療養していた。しかしこれを書いているまさに今(2月9日)、3月4日に舞台復帰するという嬉しいニュースが! 本当に良かった。

 第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」は、いよいよ蔦重のターニングポイント。鱗形屋がいない隙に「吉原細見」の出版権を取りにいく展開が描かれる。

「濡れ手に粟餅。『濡れ手に粟』に『棚からぼたもち』を一緒にしてみたぜ」

 長谷川平蔵(中村隼人)が差し出した粟餅と名言を腹に落とし、チャンスを掴みにいく。蔦重の前進から目が離せない!

(文・田中稲)

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【了】

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