やはり、人間が一番怖い?

『問題物件』第5話©フジテレビ
『問題物件』第5話©フジテレビ

 結論から言うと、金縛りは霊の仕業でもなんでもなかった。岡崎家の前にその家に住んでいた鈴木家は一家離散しており、父親は自殺。母も具合が悪かった。自分にあるのはこの家だけ、と息子の鈴木健斗(草川直弥)が岡崎家を追い出そうと試みていたのだ。

 その方法というのが大きなスピーカーで低周波音を起こし、頭痛や体調不良を引き起こすというもの。

 でも、そんなことをして岡崎家が出ていったとして、健斗のもとに家が戻ってきたとして、それは幸せなのだろうか?

「人の幸せを奪って得られる幸せはない」と犬頭が言っていたが、まさにその通りだろう。きっと奪い返したとて、理想と現実のギャップに苦しむことになるのは健斗なのだ。

 そんな健斗を演じていたのは6人組グループONE N’ ONLYのメンバーとしても活躍する草川直弥。ドラマへの出演は多くはないが、犬頭たちとの対峙には思わず惹きつけられた。

 真実が暴かれていき、追い詰められるものの、最初は「知らない」とシラをきる。本当はやっているのにやっていないと嘘をつく。これは犯人としては当たり前の行動ではあるのだが、嘘だと感じられないようなシラのきりっぷりにわりとゾッとする。

 もちろん、そのあとに自分がしたことを認めるのだが、その前段でのとぼけ方がわりと怖いせいで、「この人はここで止めなかったらもっとヤバイことをするのではないか」と人物のバックグラウンドを想像させてくれた。

 このドラマに登場する犯人役は、わりとヤバめの人が多いが、いくらそちらの分野に詳しいからといって低周波音で住んでいる人を追い出そうとする発想、あまり出てこないのでは…。家族がバラバラになり、寂しさと苦しさで、我を失っていた。もしかしたら、犬頭の言葉がなければ、正気を取り戻せなかったのでは…というのは考えすぎだろうか。

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