悪女?それとも…胸に刺さる英美子の言葉

『プライベートバンカー』第6話 ©テレビ朝日
『プライベートバンカー』第6話 ©テレビ朝日

 さて、今回の依頼も庵野がユーモラスに、痛快に解決してくれた。介護士といっても金回りがよすぎる英美子の正体は、養子で稼ぐ、いわば「養子のプロ」だった。養子縁組には結婚における重婚禁止のような規定はなく、同時に何組もの養子になることが可能。そのため、英美子は複数の家族と養子縁組を結び、遺産が手に入れば距離を置くことを繰り返していたのだ。

 相続対策である財団法人(公益性の高い活動を行う民間の非営利法人)設立に反対したことで、英美子の化けの皮がはがれることに。英美子が去り際に吐いた「あんたたちが詮索しなきゃ (丈洋は)私に感謝したまま 自分は一人じゃないって思いながら死んでいけたんだよ 本当最後まで親不孝だな」という言葉。

 演じる山崎静代の厚みのある低音ボイスとパワーのある演技も相まって、敵の言葉ながらもそのセリフは天宮寺一族の心にグサリと突き刺さったことだろう。

 なかでもとりわけ印象的だったのは、英美子が丈洋を捨てるシーンである。「やっぱりこれでさよならかな?」と尋ねる丈洋。そんな彼に、英美子は明るい笑顔を向けて「長生きしないとね」と頭に触れる。その姿は、もう父と娘ではない。介護士と介護をされる者でしかなく、丈洋の表情が今でも頭から離れないほどに寂しすぎた。

 英美子という嵐が一族のなかに吹き荒れたことで、結果的に家族の距離は縮まることに。だが、相続の問題はまだ終わらないようで…?また、ラストシーンで庵野が流した涙の理由も気になる点である。涙とはほど遠いキャラクターと思っていたのだが、丈洋に感情移入したのか、はたまた彼の危機を察知したのか。次回も、目が離せない。

(文・西本沙織)

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