蔦重の仕事術~4つのポイント

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第6話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第6話 ©NHK

 本作では数々の苦労を乗り越え、“江戸のメディア王”に成り上がった蔦重の人生が脚色を加えながら描かれている。私たちが蔦重の姿から学べる仕事のコツは以下の4つのポイントである。

①自分が最もよく知る土地でビジネスを展開する

 蔦重は自分が生まれ育った土地でビジネスを展開したからこそ、成功を手にできた。その地で暮らす者ならではの情報網を活用し、人びとのニーズを汲み取りながら、アクションを起こしている。

 どこか遠い土地にビジネスチャンスを求めて出かける人もいるが、自分の足元にこそビジネスの種が落ちているものだ。

②他人が怠けていても文句を言わず、仕事に没頭する

 蔦重の不平を漏らさず、苦労を買って出る仕事ぶりは私たちを感化する。例として、蔦重が『吉原細見』の序を改訂するために奔走する第2話のシーンを挙げたい。蔦重はこの本の序を源内(安田顕)に書いてもらい、独自の宣伝文句で読者の心を掴もうと考えた。孫兵衛はこのアイデアを認めたものの、蔦重を手伝う気は全くない。

 筆者が蔦重の立場であれば『オレばっかり!? 仕事丸投げかよ』と愚痴を吐きたくもなるだろう。しかし、彼は他人の怠惰に苛立ちを覚えることもなく、自分の仕事にひたすら向き合っていた。自分に仕事を任せてくれた孫兵衛に感謝もしている。

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