男だと本気、女だとただの感情的?

『晩餐ブルース』第4話 ©「晩餐ブルース」製作委員会
『晩餐ブルース』第4話 ©「晩餐ブルース」製作委員会

 ドラマの打ち合わせで主人公が恋心を自覚するシーンについて、ディレクターの木山(石田卓也)がエモーショナルで派手にしたいと意見を出す。それに対し、上野は「逆にもっとささやかな展開はなし、ですかね? 例えば、道に咲いてる花を見て、あの人に見せてあげたいなと思って恋心に気づく…みたいな」と提案。

 実際に目にしたことはないが、おそらくドラマの制作に携わっている人からするとリアルに感じる場面なのではないだろうか。前回の会議のシーンでもそうだったが、上野はメッセージ性を大事に主人公のキャラクターや心情に寄り添っていて、木山はそれよりも話題性を気にして見せ方にこだわっている。それはどっちが良いとか悪いとかじゃなくて、各々重視しているところが違うだけなのだ。

 ただ問題は、上野だってちゃんとプライドを持って仕事をしているのに、全ての意見が「個人の好み」で片付けられてしまうこと。つまり木山は、上野が言っていることは客観的な意見ではなく、単なる主観と決めつけているから、端から聞き入れる気がない。そして主観だと決めつける根拠は、おそらく上野が思っている通り、「女だから」なのだろう。

 その証拠に、男性である優太が「いいと思いますけど」と同意しただけで、上野のアイデアはすんなり受け入れられた。優太が仕事で感情的になっても、それだけ本気だからという理由で許されるけど、上野の場合は「ニコニコしてた方がいいよ。もう30過ぎた大人なんだから、世渡りくらいうまくやれよ」と言われる。

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