大河ドラマ『べらぼう』第7話考察&感想。横浜流星の芝居に思わず声が漏れた…『半沢直樹』ばりのカタルシス展開とは?【ネタバレ】
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第7話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
カタルシス満載の神回
鱗形屋(片岡愛之助)が偽版の罪で捕まった。一抹の罪悪感がありながらも、これを好機として捉えた蔦重(横浜流星)。1人で地本問屋仲間の集会に乗り込み、取りまとめ役の鶴屋(風間俊介)から、今の倍売れる吉原細見を作ることを条件に、地本問屋仲間に加えてもらう約束を取り付ける。
NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第7回「好機到来『籬(まがき)の花』」は、TBS日曜劇場『半沢直樹』を思わせるカタルシス満載のビジネスストーリーだった。
いきなり結論から述べるが、蔦重は見事、鶴屋に「これなら今よりも倍売れる」と確信させる細見を完成させる。そのポイントは大きく分けて3つだ。
まず、蔦重は細見を今の半額で販売することを決めた。もしこれまでと同じ額だけ仕入れてもらえるのであれば、本自体の値段を半額にすれば、単純に倍売れると考えたのだ。
しかしながら、本の値段は制作費と照らし合わせ、儲けが出るように設定されているため、制作費は据え置きのまま売値を半額にしたら、当然赤字になってしまう。つまり、制作費も今までの半分に抑えなくてはならない。
だからといって中身のクオリティを下げたら結局は買ってもらえないので、安く作って安く売れ、なおかつ客が飛びつくだけの魅力あるものを目指す必要がある。正直、高すぎるハードル設定だ。
だが、蔦重は諦めない。次郎兵衛(中村蒼)と半次郎(六平直政)に協力を仰ぎ、どんな細見だったら買いたくなるかという市場調査を行う。色々な意見が挙がるが、ヒントになったのは新之助(井之脇海)の「もう少し薄くならないか」という声。今の冊子の厚さだと懐に入れた時、かさばるというのだ。