心霊現象よりも厄介そう…。
今回は心霊現象、というわけではない。が、新興宗教団体という心霊現象よりも厄介そうな案件である。
教祖・天音を演じるのは小沢真珠。なんだろう、この取って食われそうなオーラ…。恵美子を驚かせるような神通力も発揮するが、恐ろしさと共に、絶対に裏があるのが感じられるうさん臭さがいい。
そんな天音に心酔するのはカナエ(松井玲奈)。婚約を破棄したのをきっかけに、入信。仕事もやめており、居場所を失っていたタイミングで宗教に出会ってしまったのだ。しかし、天音がやっていたことは詐欺。神通力にもカラクリがあり、全てはまやかしだったのだ。
キーワードになるのは「居場所」だろう。大島に家を奪われようとしている雅弘。居場所を失くし、宗教に頼ったカナエ。
犬頭が言う。「安心する場所を誰かに奪われるのは怖い」。
そして、「生きることは居場所を見つけることなのかもしれない」とも。人間も犬もひとりでは生きられない。だから、誰かと一緒に居心地の良い場所を作る。その「誰か」は家族だけとは限らなくて、友だちかもしれないし、恋人かもしれないし、仲間かもしれない。
ただ、全ての人がその居場所を見つけられるわけではないのも悲しいところだ。たとえ見つけたとしても、その居場所は永遠ではない。カナエたちがいた場所はなくなってしまった。
きっと、心のどこかでカナエたちも永遠ではないと分かっていただろう。それもまた誰に対しても言えることで、生きること=居場所を見つけること、というより、生きること=居場所を探し続けること、なのかもしれない。