小関裕太の巧みな演じ分け

『相続探偵』第5話 ©日本テレビ
『相続探偵』第5話 ©日本テレビ

 前編での振る舞いから「アホぼん」と称されていた通り、いわゆる無能なお坊ちゃん像を地で行くタイプ。しかし後編では、打って変わってビジネスマンとして優秀な動きを行っていたことが次々と明らかとなる。職人気質で最後まで頑固さがほどかれなかった野心とは対照的に見え、「アホぼん、やるじゃん」と思わず見直してしまう。

 そんな正臣を演じた小関裕太もやはりさすがだった。昨年10月クールに続き、今クールも『御曹司に恋はムズすぎる』(カンテレ・フジテレビ系)と『相続探偵』の“ダブルヘッダー”。前者では主人公の敏腕上司、後者では前述の通り正臣を演じた。ともに優秀な点では共通するのだが、正臣に関しては鼻につく横文字を使ったり、ふらふらと遊んでいるように見えたりと若干の胡散臭さも散見される。

 そんな中、ラストで野心との2人のシーンでは『鳳凰』の看板の重みを語り、がっちりと握手をする様子から「アホぼん」の匂いはもはや感じられない。この雰囲気をガラリと変えてしまう演じ分けが小関の魅力的な武器と言えるのではないだろうか。

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