親子ではなくひとりの人間として対峙
瀬奈が、「自由に生きたいよ。安全な道じゃなくても良い。どれだけ大変でも、自分が決めた道を歩きたいよ。わたしの人生なんだから!」と言ったあと、祥子は「わたし、瀬奈ちゃんとずっと一緒にいたくて…」と漏らしていた。
もしかすると、瀬奈が宇井と一緒になってくれたら、自分も仲間に入れてもらえる、必要としてもらえると思ったのかもしれない。「咲良ちゃんの面倒は、わたしが見ておくから!」なんて言って、宇井と瀬奈の生活に介入している姿が目に浮かぶ。
その一方で、真戸原といたら瀬奈はどんどん自分から離れていってしまう…と感じ、不安になったのではないだろうか。
しかし、最終的には「あなたも、もう大人なんだから好きに生きるべきよね」と言ってくれた祥子。ずっと「瀬奈ちゃん」と呼んできた祥子が、「あなた」と呼びかけたとき、初めてひとりの人間として瀬奈と向き合った瞬間に立ち会ったような気分になった。
母親にとっては、いつまでも子どもは子どもなのかもしれない。でも、心配だからといって、人生の舵を取り続けるのは愛情ではない。
自分で選んだ道なら、どんな結果になっても仕方ないと思えるが、母親に決められた道を進んでいたら、いつまで経っても大人になりきれない。失敗をするたびに、「お母さんのせいだ」と思い続ける人生になってしまう。自立というのは、人生の舵を自分で取れるようになることなのかもしれない…と2人の関係を見て考えさせられた。