官僚として社会の不条理と戦う日々

『御上先生』第6話 ©TBS
『御上先生』第6話 ©TBS

 女性の生涯所得は男性よりも低いし、女性用車両はあっても男性用車両はない。ジェンダー以外でも、肌の色や言葉の違い、そして身体的障害でいじめを受けた経験を持つ人は今なおいるだろう。

 世の中の多くの人はこういった社会の問題を理解しながら、見て見ぬふりをしている。あるいは折り合いをつけていると言い換えることができるかもしれない。しかし、宏太はできなかった。

 母親から「そんな子たちのために自分の人生を犠牲にする必要はない」と泣かれても、正しくありたい宏太にとってその言葉は傷にしかならなかった。

 彼の自死はショッキングで御上にも深い爪痕を残した。だからこそ、彼は官僚として教育改革を求め、教壇に立っている。

 社会の不条理と戦っている彼にとって数少ない救いとなったのは生徒たちが問題を理解し、ひとつになったこと。生徒の一人は週刊誌を破り捨て、気づけば敵対していたように見えた神崎(奥平大兼)も「おかみ」と呼び、真山弓弦(堀田真由)との接見を報告するようになっている。

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