『119 エマージェンシーコール』が紡ぐ”誠実さ”とは? 同日放送のNHK密着番組にも劣らないワケ。第6話考察&感想【ネタバレ】

text by 西本沙織

清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が現在放送中。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第6話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:西本沙織】

1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。

現場だけが主役じゃない

『119 エマージェンシーコール』第6話 ©フジテレビ
『119 エマージェンシーコール』第6話 ©フジテレビ

「100人いれば100通りの背景がある」

 主任・堂島信一(佐藤浩市)の言葉をなぞるかのように、通信指令センターには今日もさまざまな通報が寄せられている。『119エマージェンシーコール』第6話では、その一つ一つに真摯に寄り添う、指令管制員たちの奮闘が描かれた。

 ジョブローテーションの一環で、司令課3係に消防救助隊の上杉昴(酒井大成)がやってくることに。火事の通報にも、現場経験を活かして迅速に対応する。その姿に粕原雪(清野菜名)は感心するが、兼下睦夫(瀬戸康史)的にはまだまだのようで…。

 ジャンクコール(いたずらや緊急性のない電話)や頻回要請者からの通報が続くなか、あるコールをキャッチした雪。通報者は自殺志願者で、救急隊員を遺体の第一発見者にするため電話をかけてきた。

 普段の通報ならば、通報者の居場所を優先して聞かなければならない。だが、今回の場合、先に居場所を聞いてしまえば、通報者の“救急車を呼ぶ”という目的が果たされ、自殺へと行動を移してしまう。情報の聴取より、通報者の内に抱えるものを聞いたり、落ち着かせたり…。心に寄り添うことが、第一になる。

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