『東京サラダボウル』第8話考察&感想。松田龍平”有木野”の姿が切ない…「決めること」が人生に与える影響とは?【ネタバレ】
NHKドラマ『東京サラダボウル』が放送中。本作は「クロサギ」の黒丸による原作漫画を実写化。国際捜査の警察官&ワケありの通訳人のコンビが、様々な事情で日本に暮らす外国人居住者の問題に挑む。今回は、第8話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
明かされた誤訳事件の真相
「同じ卒配先になるのは、成績がいいやつと悪いやつっていうよな」という八柳(阿部進之介)の軽口に、笑顔で「自分が悪いほうだと思います!」と返す織田(中村蒼)。隣にはもちろん、有木野(松田龍平)の姿がある。この3人にも、こんな和気あいあいとした時間があったのだ。
天真爛漫に見えた織田の、壮絶な過去が明らかになった第8話。ある意味、鴻田(奈緒)の運命を変えた「決めること」という織田の言葉が、織田自身の人生を狂わせたと言える内容に切なくなった。
4年前に上麻布署で起きた誤訳事件について、有木野がなにも教えてくれないことで悩んでいた鴻田に、張(朝井大智)が弁護士の伊村(安藤玉恵)を紹介する。伊村は日本に暮らす外国人たちについて、彼らの多くがいい人でいようと努めている、と語る。
そうしないと簡単に疑われてしまうからだ。幼少期に在日韓国人・スヒョン(水瀬紗彩耶)との苦い経験をもつ鴻田の思いと、通底するものがあるといえるだろう。
最初こそ伊村は4年前の事件の資料を開示することを拒んだが、関連して最近もリンモンチという人間の命が奪われたと聞くと、資料を見せてくれた。警察が作成した資料はとても詳細で、しかも阿川(三上博史)の通訳に「作為的なものを感じる」という記載があった。
それが有木野の作成したものだと悟った鴻田は、単独で捜査を進めていくことになる。
鴻田は、モンチが同僚に「警察との接点があるから捕まらない」と話していたという証言を入手。そこにこそ、ボランティア(絃瀬聡一)との接点があるのではないかと推測する。
さらに、誤訳事件の当事者である阿川にも、「何かしようとしていますか?」と問いかける。探るような鴻田の目の奥には、すでに1つの結論が出ているようにも見えた。