「決めること」が人生に与える影響

　同時に、織田の過去が明かされていく。元不良少年だった織田は、当時少年課の警察官だった豊住（三浦誠己）に「立ち直るって決められるかどうかはお前次第だ」と諭され、警察官になる。

「決めること」が人生に与える影響を、身をもって体験した。その後に取り調べを担当したモンチに「決めることができれば、モンチさんの人生がまた動き出しますよ」と声を掛けていたことからも、織田にとって大きな意味を持つ言葉であることがわかる。

　当時、阿川とコンビを組んだ織田は、監察官となった豊住から、阿川の取り調べの様子を検証するための盗撮に協力するよう依頼され、引き受ける。だが、豊住の内偵を手伝うことは、いまいる場所の仲間たちを裏切ることだ。

　だから、すでに私生活のパートナーとなっていた有木野にも、織田は自分のやっていることを話さなかった。警察官になったときに、有木野が「ここでは上手くやっていきたい」と、織田に決意を語っていたからでもある。

　豊住は、織田の撮った映像の検証を有木野に依頼した。その結果、看過できない意図的な誤訳があることを有木野は指摘する。鴻田が推測する、「警察との接点」に関する意図的な誤訳だった。