驚きの1500億円以上の節税スキーム

『プライベートバンカー』第8話 ©テレビ朝日
『プライベートバンカー』第8話 ©テレビ朝日

 まず、先手を打ったのは努・果澄(MEGUMI)夫婦。老人ホームに足しげく通っていた動画を見せ、丈洋へ親交アピール。あからさまな…と思ってしまうが、意外にも動画を残しておくことは、相続争いに有効らしい。

 丈洋の記憶がないのをいいことに、次々と相続に関するハッタリをかましていく努たち。そして、「俺たちに遺言書いてたの、覚えていないか?」と、遺言書までも大胆にでっち上げていく。

 筆跡は、遺言書を汚しでもして、丈洋に新しく書き換えてもらえば問題ない。あらかじめ用意した嘘の遺言書にお茶をこぼして、わざとらしく「ああっ!」と夫婦で言いあう姿は、『ビリオン×スクール』(2024、フジテレビ系)でコメディ色の強い演技をみせたMEGUMIとお笑い芸人としてのキャリアを持つ安井順平だからこその、クスッと笑えるシーンに仕上がっていた。

 かくして、遺言書を本物にすることに成功した努。だが、いくら丈洋の意向といえど、役員は実力イマイチな努を社長にしたがらない。そこで、庵野甲一(唐沢寿明)が打ち出したのは、天宮寺アイナグループを非上場企業に戻す方法。同族経営の天宮寺家が上場をやめた場合、相続税を0円にできるという。

 非上場にした上で、丈洋から努に代表権を譲り、同時に資産を贈与。そのまま5年間従業員の雇用を守ったまま努が経営を続けられれば、相続税の支払いは猶予されることに。さらに次の代へと引き継ぐことができれば、その支払いが全額免除されるというカラクリである。

 免除の条件をクリアできるのは、天宮寺家では努ただ一人。丈洋の保有株式は時価3000億円ほどあるため、1500億円以上の節税に。相続税を0円にするスキームも衝撃だが、対策をしなければ、税金で半分ほどざくっと引かれてしまうことにただただ驚いてしまう。

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