もし立場が逆だったら…。

『フォレスト』最終話©ABCテレビ
『フォレスト』最終話©ABCテレビ

 幼い少女には“和歌奈”を奪われたショックが大きく、大人になってもその傷は当然のことながら癒えなかった。長年にわたる苦しみや怒りが彼女の心を蝕み、妹への“歪んだ愛情”に変わっていったのだろう。

 また、真琴は母である孝子にもうらみを少なからず抱いていた。孝子が自身の罪を被っても冷静でいられたのは、“お母さんが和歌奈を叔母に渡さなければこんなことにならなかった”という気持ちがあったからだろう。

 幼い頃の悲しい出来事はその後の人生を変えることがある。子どもは大人と違って事実のみを無垢な心で受け止めている。大人であればさまざまな事情を考慮し、頭では最善の策として諦められても子どもには難しいことも多い。

 前回の考察でも指摘したが、真琴が真犯人であったことを踏まえても、本作からは社会格差の問題が見出せる。孝子が経済苦に陥らなければ、真琴は罪を犯さなかったかもしれない。

 事件の真相を掴まれてしまった孝子は、塔子を殺めている。もしこれが孝子ではなく鈴子であれば、お金での解決を試みた可能性が高いだろう。孝子は人の命を奪うという重罪を犯してしまったが、そこに至ってしまった根本的原因についてもっと考えるべきではないかと思う。

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