人間に戻れる居場所を

『晩餐ブルース』第6話 ©「晩餐ブルース」製作委員会
『晩餐ブルース』第6話 ©「晩餐ブルース」製作委員会

 木山はこれまで、女性である上野(穂志もえか)を仲間外れにすることで男性社員同士で絆を深めたり、優太たちの“晩活”に対して「男とベタベタして何が楽しいの?」とホモフォビア的な反応を見せたりと、ホモソーシャルにどっぷり浸かった人物として描かれてきた。

 だから、見栄も嘘も必要ない相手が1人もいないのは当然、自業自得…と片付けることはどうしてもできない。そうでもしなければ、自分の“役割”、ひいては存在価値を守れない社会の側に問題があるのではないだろうか。

 木山の未来に、あの高齢男性がいる。優太に関して言えば、まだ何者でもない頃に出会った耕助や葵と再会できたことが幸いだった。

 2人といる時は自分の“役割”を果たす必要なんてなく、ただ晩ごはんを一緒に作って、食べるだけでいい。それだけで、お互いの心が満たされる。機械から人間に戻っていく。どうかそういう存在が木山にもできますように。そう願わずにはいられない。

(文・苫とり子)

水ドラ25「晩餐ブルース」

テレ東ほか 毎週水曜 深夜1:00~深夜1:30

各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」「TELASA」「J:COM STREAM」「milplus」「Prime Video」 にて順次見放題配信

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【了】

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