『御上先生』考察。万引きしたのが”生理用品”だった深いワケ。 松坂桃李”御上”の愛をもっとも感じたシーンは?第7話レビュー【ネタバレ】
松坂桃李主演の日曜劇場『御上先生』(TBS系)が現在放送中。本作は、東大卒のエリート文科省官僚の御上が日本の教育を変えるため、令和の時代を生きる高校生を導きながら、権力に立ち向かっていく物語だ。本日は第7話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
現代日本が抱える“相対的貧困”
日曜劇場『御上先生』では容赦のない現実を迷うことなく描く。2日に放送された第7話でひとつのテーマとなったのが「相対的貧困」。国・地域の生活レベルとは無関係に、生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態である「絶対的貧困」に対し、その国や地域の水準の中で比較して、大多数よりも貧しい状態のことを指すのが「相対的貧困」である。
かつて「1億総中流」とも言われていた日本。しかし、現代では貧困は身近な問題となり、その「中流」から落ちだす人々が現れだした。幼少期に両親を亡くし、和菓子屋を営む祖父母に育てられた椎葉(吉柳咲良)もその1人だ。
私立高校である隣徳学院に入学した当初は一般家庭と比べても豊かであったはずだが、祖父が認知症となり祖母もその後に倒れてしまったことで生活は困窮。ついには万引きに手を染め、詐欺罪で告発される可能性のあるマッチングアプリのサクラのアルバイトをしていたことも明るみに出たことで、一時は学校から退学処分を下される。
日常的に死の危険に怯えることなく、飽食の時代を生き、日本で暮らす私たちはきっと恵まれているのだろう。生きるために盗みをするという発想はないし、正直想像することも難しい。だが、確かに相対的貧困はあり、実際主要7カ国(G7)の中で日本は最も高い相対的貧困率を記録している。いつの間にか格差社会が生まれ、私たちの周りにも“椎葉”はきっといるのだろう。