御上(松坂桃李)の愛
椎葉の独白には胸が締め付けられるが、3年2組の生徒たちは他人事ではなく自分ごととして考えられるからやはり優秀だ。彼らは校内で署名活動を行い、椎葉の処分取り消しだけではなく、家庭環境が悪化した生徒の救済システム構築を古代真秀理事長(北村一輝)に訴えるのだった。
ヤングケアラーや相対的貧困など社会問題とまっすぐに向き合う脚本は重苦しさも感じうるが、御上(松坂桃李)によって温かみに包まれるようにも感じる。椎葉に対して御上はなぜ盗んだものが生理用品だったのか、と問う。御上の言葉を遮るように是枝(吉岡里帆)は「やめてください! 女性に対してそんな質問」と咎める。
その後、富永(蒔田彩珠)が「(話すかどうかは)椎葉が決めていい」と促すのだが、いうなればこれはすべて御上の台本通り。是枝が止めるとわかっていて、あえて椎葉にたずねたのだった。
御上は、是枝の正しさを信じ、「全力でかばってくれる人」の存在を椎葉に示したかった。是枝を信頼し、スムーズに運ぶように生徒である富永に頼った御上は全方位に温かく、改めて愛の人なのだと実感させられる。
一方で、いよいよ怪しくなってきたのが古代理事長。救済システムの導入を約束し、椎葉の退学も取り消したが、文科省の局長である塚田(及川光博)との会話から良からぬことを画策しているのは明らかだ。
対して、御上も一色(臼田あさ美)に「これを使って仕掛けてみようかと思っています」と、過去の告発の紙を見せる。物語の“闇”に向け、ドラマは一気に加速していきそうな予感がたっぷりだ。
(文・まっつ)
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