『119 エマージェンシーコール』考察&感想。筆談シーンにグッときた…第7話で登場した「NET119緊急通報システム」とは?【ネタバレ】
清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が現在放送中。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第7話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
姉妹の関係性が、動き始める――。
あなたが呼んでる 声が聞こえてる 私は怯えても呼び返す 何度でもこの声で──。
粕原小夏(蓮佛美沙子)・雪(清野菜名)姉妹の関係性が、動き始める。『119エマージェンシーコール』第7話は、主題歌の「声」(羊文学)がより心にしみわたる回だった。
最初に雪が受け取ったのは、吐き気を訴える女性からの通報。順調に聴取を進めていくが、あるとき突然女性の声が出なくなってしまう。箕輪健介(前原滉)のアドバイスにより、“音”で意思疎通を図ることに。
「はい」なら一回、電話を指で叩く…。ひとつひとつ丁寧に質問を重ねながら、通報者の声なき声に耳を傾ける雪。その姿からは、「絶対に助ける」という切なる思いが伝わってくる。
今回の一件をみて思い出されるのは、雪の姉・小夏のことだ。雪とは仲のいい姉妹だったが、小夏はある日声を発することが出来なくなってしまう。小夏が精神的ストレスやトラウマがきっかけといわれる「失声症」になったのは、約5年前。その頃は、雪が消防に転職した時期でもあった。
雪が指令管制員を志したのは、幼い頃、家の火事で119番を発信した経験から。「わたしも誰かの支えになる仕事ができたら…」そんな思いを熱く語る雪だったが、その日を境に小夏の声を聞くことはなくなり、距離も遠ざかってしまう。
そんななか、久しぶりに顔を合わせた雪と小夏。小夏を“守らなければならない人”としてみている雪は、「お姉ちゃんに何があっても絶対助けるから」と伝える。
傍からみれば雪の言葉は優しいものに思えるが、小夏にとってはどうだろう。雪の言葉に安心するどころか、とても息苦しそう。負い目を感じているのか、トラウマよりも、何か罪悪感を抱えているようにも見える。