松葉屋がとった最終手段

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第9話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第9話 ©NHK

 こうして想いが通じ合った2人だが、幸せは長くは続かなかった。千両もの身請け話を断った方が値打ちが高まると最もらしい理由をつけ、松葉屋の主人(正名僕蔵)といね(水野美紀)に辞退を申し出た瀬川。

 しかし、自身も元花魁で、女将として長年女郎たちを見てきたいねの目は欺けず、間夫ができたことをすぐに察される。客には決して靡かない鉄壁の女となれば、相手は蔦重しかいない。

 いねたちは2人が恋仲である証拠を掴み、折檻しさえすれば目を覚ますだろうと考えて監視の目を光らせる。だが、吉原の男と女郎の恋が御法度なんて、蔦重も瀬川も十分に理解していることだ。

 2人は、瀬川が年季明けを迎え、正式に吉原の門をくぐる日まで耐え忍ぶ覚悟だった。なにせ20年越しの恋なのだから。待つことなんて、少なくとも瀬川にとっては慣れっこなのだろう。

 ところが、2人が尻尾を出さないことに業を煮やしたいねたちは最終手段に出る。いねは襲名時にかかったお金を回収するという名目で、風邪を引いたということにして離れで瀬川に客を取らせた。その光景を蔦重に見せ、2人の心を容赦なくへし折っていく。

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