3人の交錯する視線
故意かどうかにかかわらず、死後も守りたかった秘密を掘り起こすことで、今も生きる大切な人を不幸にしてしまう可能性がある。一方で、これまで紡がれたエピソードで周知のとおり、MRI捜査を経たからこそ救いだせる真実もあった。
捜査の是非を一概に断言することはできない。それでも本作は、死者の秘密を覗き見ることによって、凶悪だと決めつけられた事件にも異なる一面があることを提示してくれている。
「あなたは決して私を見ない。でも、あなたが誰よりも大切にしている人が、いつもあなたより私を見るのよ」「たとえば克洋くんとか」
雪子と薪、そして青木を交えた3人の複雑な関係性も続いていく。ラストで薪に言い放った雪子のセリフは、彼らの歪な関係を明確に変化させる言葉だった。青木が雪子に告白するタイミングが正しいのかは別として、3人の交錯する視線が合致する瞬間は近いのかもしれない。
次回は原作のなかでも、特に大きな規模で展開される事件であり、第九の存在とMRI捜査の意義が問われるエピソードでもある。映像としてどのように再現されるのか、心して来週の放送を待ちたい。
（文・ばやし）
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