丈洋(橋爪功)のたくらみ

当然納得がいかない一族は、クーデターを計画する。財団理事長の再選任を発案し、その座に美琴がつこうと立候補。財団を乗っ取り、株を思いのままにしようとする美琴と子どもたちの意向が一致し、ここにきてはじめて家族が手を取り合うのが皮肉な話である。
ところが、その反乱は失敗に終わる。代わりに新理事長として名が挙がったのは、庵野。すべての出来事は、丈洋が家族のために仕組んだスキームだった。
見栄、プライド、意地、対抗意識、自意識…。あらゆる黒い欲望が渦巻くなか、丈洋は誰を勝たせるわけでもなく、全員を戦いのフィールドから降ろし、守ることを選んだのだ。
「本当に幸せだったのは 絶対に成功したいと思いながら日々邁進する その過程」
「皆でひとつのケーキを分け合った あの日々のなかにこそ幸せがあった」
丈洋がつぶやいたこの言葉は、いつまでも忘れないでおきたい幸せの在り方だと思う。ひと悶着ありながらも、数千億円という金の呪縛から解放された一族たちの表情は、肩の荷がおりたようにどこか晴れやかだった。回を追うごとにどんどん愛すべきキャラクターとなった一族の再出発には、素直にエールを送りたい。