斬新な組み合わせだけど、バランスの整ったメニュー

『晩餐ブルース』第7話 ©「晩餐ブルース」製作委員会
『晩餐ブルース』第7話 ©「晩餐ブルース」製作委員会

 結果、離婚して一人になった葵はいよいよ自分の存在意義を見失って焦っていたのかもしれない。相手を変えたって、また同じ道を辿ることは分かっているのにマッチングアプリに明け暮れる日々。そんな中、葵は優太や耕助と再会を果たした。

 そして2人との晩活を通し、明確な目標がなくても、良い夫になれなくても、自分はここに存在していてもいいのだと思えたのではないか。その安心を得て、再び心に向き合った時、葵は自分が結婚そのものがしたかったわけではないと気づくことができた。

 それは京子も同じだ。「こんな国で、こんな街で1人で生き残れる気、全然しないもん。だから、葵のこと、結婚のこと、武器みたいに思ってた」と京子は言う。お互いを大切に思っていなかったわけではない。

 曲がりなりにも一度は結婚しようと思った相手なのだから、一緒にいて気持ちが楽ではあったのだろう。もしも、男性も女性も関係なく、1人で充分幸せに生きていられる世界だったら、2人は良い友達になれたかもしれない。そう思ったら少し切なくはあるけれど、京子と会って話をしたことは葵にとって前を向くきっかけになった。

 それぞれ向き合うべきことに向き合った3人はいつものように集まり、卵と煮たチャーシュー丼と野菜がゴロゴロ入ったポトフを作る。一見斬新な組み合わせだけど、野菜が摂取できて、豚肉でビタミン、卵でタンパク質が摂れるバランスの整ったメニュー。

 3人も同じように、性格や仕事、悩みは全然違うけれど、一緒にいることで良い影響を与え合える。ナイスバランス。彼らに晩活があって良かった。

(文・苫とり子)

水ドラ25「晩餐ブルース」

テレ東ほか 毎週水曜 深夜1:00~深夜1:30

各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」「TELASA」「J:COM STREAM」「milplus」「Prime Video」 にて順次見放題配信

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【了】

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