ようやく語られた弓弦(堀田真由)の境遇

『御上先生』第8話 ©TBS
『御上先生』第8話 ©TBS

 さらに、殺人事件を起こした真山弓弦(堀田真由)が神崎(奥平大兼)に手紙を綴り、「わたしの最初の記憶は父に殴られている母です」とする辛い過去を明かした。神崎にしても新聞記者の父に対しては複雑な感情を抱いており、これまでの彼を見ていると侮蔑に近いとも言えるかもしれない。

 しかし、そんな彼から見ても弓弦は次元が違う。父に対して感情も持ちたくないとする彼女と神崎ではそもそものスタートラインが異なる。これまで、彼女に対する言葉や態度、向き合い方は正しかったのか、教室でうなだれる神崎はそんな思いを巡らせていたのではないか。

 やっとの思いで弓弦が自身の境遇を語ったわけだから、初めて知った神崎はそこまで落ち込む必要はないと思う。だが、「考える力」があって、その重要性をよく知る隣徳学院の生徒だからこそ、弓弦の手紙はずんと胸に沈んだのだろう。

 また神崎が新たに突き止めたのが、謎の青年が冴島悠子(常盤貴子)の教え子であり、隣徳学院の卒業生である戸倉樹(高橋恭平)であるということ。冴島の不倫疑惑は戸倉をかばうための動きだったことは確実となったが、具体的に戸倉が何をしたかはまだ明かされていない。

 しかし、神崎が不倫を報じた記事が、御上が暴こうとしている隣徳の不正を隠すことに利用されたと予想することができ、“バタフライエフェクト”の一歩目となったのではないだろうか。

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