竜美(上白石萌音)が「友だちをなくす手」を打ったワケ

『法廷のドラゴン』最終話Ⓒ「法廷のドラゴン」製作委員会
『法廷のドラゴン』最終話Ⓒ「法廷のドラゴン」製作委員会

 ここでようやく明かされたのは兎羽と竜美のわだかまり。なぜ、大事な一戦で、竜美は「友だちをなくす手」を打ったのか。それは、奨励会を退会する可能性が高い兎羽と少しでも長く将棋を指していたかったから。

 兎羽としては、竜美に潔く負けたかった。しかし、竜美の予想外の手で自分らしい将棋を指すこともできず、悔しさがあった。

 一方で、対局の最後に何も言わずに席を立ったことを兎羽も悔いていた。ふたりして、涙をこぼし本音を語り合い、ようやくわだかまりが消えた。親友だとしても、人と人。話をしなければ何も通じ合えないのだ。

 そして、そんな会話を交わしているのは2人きりの空間ではない。

 将棋を指す場所は歩田法律事務所で、そこには虎太郎と乾だけではなく、竜美の両親、辰夫(田辺誠一)と香澄(和久井映見)も対局の様子を見守っていた。なんてアットホームなんだ、なんて愛されているんだ、竜美…!

 辰夫と香澄の娘の愛し方ってとてもステキだ。ちょっと過保護かな? というぐらいなのかもしれないけれど、竜美自身がまだまだ両親に精神面で寄りかかっている。きっと、竜美が距離を置きたい、と言うようになったら適切な距離が作られるんだろう。

 辰夫は寂しがるだろうし、竜美が離れていくことを嫌がるだろうけど、そこをうまく香澄がコントロールしそう。バランスの良い夫婦なのだな、と思う。

1 2 3
error: Content is protected !!