対照的な人生を歩んできた双子

『相続探偵』第7話 ©日本テレビ
『相続探偵』第7話 ©日本テレビ

 実は薮内には双子がいた。ただ、ことはそれほど単純に説明できるものではない。『藁の上からの養子』として生まれたばかりの赤ん坊を他人が直接もらい受け、養子という法律上の手続きを経ずに戸籍に入れられたのが、郷田蜆(佐野史郎)。彼は薮内とは一卵性の双子関係にありながら、対照的な人生を歩んできたという。

 何不自由なく生活して人々に称賛されてきた薮内に対し、郷田は「運が悪い」人生を送ってきた。家庭環境は悪く勉強もさせてもらえず中学を出てすぐに就職。ようやく所帯を持ったと思えば、妻を亡くすこととなった。

 誰から見ても苦難の道を送ってきた郷田。その結果として軽犯罪を犯した犯罪者となり、現在は病床に伏している。

 郷田は生い立ちに恨みを持ち続け、薮内に怒りをぶつけた悪人なのか。犯罪を犯し薮内を陥れようとしたある一面を見ればそうかもしれない。しかし、彼の息子である妻鹿夫(柾木玲弥)から見ればそれは違う。息子に食べさせるために毎日日雇いで懸命に働き続けてきた、いい父親としての側面も確かにあった。

 逆に薮内もこれまで周囲に手放しで褒め称えられてきたような聖人ではなかった。「愛妻家で隠し子はありえない」と思われていた薮内だが、双子関係である郷田とその子供に向けて「二度と俺の前に姿を現すな」と吐き捨てるひどい姿もあったのだ。

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