”劇団特命係”に右京(水谷豊)もご立腹?
2つ目の見所は、特命係が打ちだす様々な作戦だ。
特命係は木村が怪しいと踏むと、彼の周囲から落とそうとする。亀山はホームレスに扮して木村が経営している唐揚げ店に接触し、金に困っている事を伝えて闇バイト用の飛ばし携帯を抑える事に成功する。このホームレス変装作戦は、歴代の相棒ではスマート過ぎて実行したところで上手くいかないだろう。泥臭さのある亀山薫だからこその作戦だと言える。
だが特命係の作戦はこれだけに収まらない。
ホームレス作戦によって木原の部下である柴田(真丸)を捕まえるが、彼は木原への恐怖から口を割ろうとしない。そこで「北風と太陽」のごとく、右京が「怖い刑事」、亀山が「優しい刑事」となり、柴田を懐柔しようともくろむ。
取調室で行われる”劇団特命係”は右京の怖くもワザとらしい怒りっぷりだけでなく、亀山が「上司が何を考えてるか分からない」「パワハラを受けて1回警察を辞めた」と右京へかつて抱いていた感情や経験を、虚実取り混ぜることで、見事、柴田を落とすのに成功した。
これには右京も亀山に対して少しお怒り気味ではあったが、あくまでも演技と言い張る事で亀山は乗り切った。
土壇場に応じて作戦を即座に組み、実行する2人の絆と、過去の軋轢もネタにしてしまう長年のシリーズの積み重ねが実に活きている。そんな笑い要素を織り交ぜながら本筋が進むので観ていて心地が良い。
しかし特命係の作戦は、まだまだ終わらない。