スペシャルドラマ『わが家は楽し』考察レビュー。髙橋海人の特徴的なセリフ回しが絶妙…一夜限りなのがもったいないワケ【ネタバレ】
text by 苫とり子
山田洋次×石井ふく子 ドラマ特別企画『わが家は楽し』(TBS系)が13日に放送された。人と人との繋がりが希薄になっている現代だからこそ、孫・親・祖父母の世代に広く「家族」について見つめ直すきっかけを訴えるホームドラマだ。今回は、本作のレビューをお届け。(文:苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
”今時らしさ”もありつつも普遍的な家族愛
全50作に及ぶ『男はつらいよ』シリーズをはじめ、家族をテーマにした作品を撮り続けてきた映画界の巨匠・山田洋次が脚本を手がけ、『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)シリーズで知られるホームドラマの名手・石井くに子プロデューサーと、2018年放送のTBSドラマ特別企画『あにいもうと』以来、7年ぶりにタッグを組んだ本作。
現代を舞台にしたホームドラマで、「バーチャルカフェ」「配膳ロボット」「タッチパネル」など今時のワードが飛び交いながらも、普遍的な家族愛を描いた作品だった。
主人公の平山幸之助(小日向文世)は長年勤めた会社を定年退職。これからは妻の史枝(戸田恵子)と海外旅行をするなど、のんびりとした余生を過ごすつもりだった。
ところが、史枝から、ある計画を明かされる。女主人(三田佳子)が高齢ゆえに畳むことになった近所の喫茶店をインテリアデザイナーの友人・カンナ(キムラ緑子)とともに引き継ぎ、ブックカフェを開業するというのだ。
その開業資金として、史枝は幸之助の退職金の一部を使いたいという。これに幸之助は猛反対。その後も史枝は何度か説得を試みるも、幸之助は全く聞く耳を持たず、ついには家族を巻き込んだ離婚問題にまで発展していく。