千木良遥(髙石あかり)が不正入学者リストに
「コミュニケーションは大事」なんてことは言われなくても当たり前のことなのだが、それぞれが難しい事情を抱えているのを見ているからこそ、すんなりと腑に落ちる。だから、富永も涙ながらに弟に愛を伝えようと決心できたのだろう。
その描き方にしてもハイコンテクストだった。富永の母親も弟も直接的には登場することもなく、具体的にどのような言葉を交わしたかもわからない。でも、彼女が何を見てどのように問題解決してきたかを私たちは知っている。
御上と母親の対話を見てきた彼女が、家族とも正しいコミュニケーションを取れたことを疑う余地はない。問いかけた次元に対して「結構感動的だった」とグーサインを見せた、解決への示唆はあまりに爽やかで、別のことを指しているのかと思ってしまうくらいだった。
是枝(吉岡里帆)にしても父と、冴島悠子(常盤貴子)にしても娘の弓弦(堀田真由)と対話することで知り得なかった思いを知ることができた。100%理解して納得はできないにしても、その歩み寄りに意味がある。第9話ではそんな過程の愛しさを描いていた気がする。
大きなテーマがありながらも、ドラマはついに最終話を残すのみとなった。ラストでは冴島からUSBを受け取った神崎(奥平大兼)によって、不正入学者のリストが明らかとなる。
そこにはなんとクラスメイトの千木良遥(髙石あかり)の名前も…。大きく濁った波の中に仲間を見つけて、御上と3年2組の面々はどのように動いていくのか。そして救えるのか。最終話もきっと歴史に残るものになるだろう。
(文・まっつ)
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