『119 エマージェンシーコール』第9話考察&感想レビュー。思わず、涙がほろり…瀬戸康史”兼下”の胸アツシーンとは? 【ネタバレ】
清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が現在放送中。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第9話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
兼下(瀬戸康史)に昇任試験の話が
司令課3係には、今回もさまざまな通報が寄せられた。畑の用水路に転落した男性本人や、心筋梗塞の疑いがある夫の妻からなど。通報から聞こえるのはごくわずかな情報だが、彼らは賞を目指す漫画家だったり、あるいは終電まで働くサラリーマンだったり。その背景は、人の数だけある。
指令管制員は、見えない電話の向こう側を想像しながら、一人一人と向き合い続けている。誰もが「必ず助けたい」という思いを、胸に宿しながら。
『119エマージェンシーコール』第9話では、兼下(瀬戸康史)に昇任試験の話が持ち上がる。ゆくゆくは、難易度の高い救助に特化した部隊「スーパーレンジャー(横浜市消防局特別高度救助部隊)」の部隊長にという声も。SRといえば全消防隊員の憧れでもあるが、当の本人はなぜか浮かない表情。
SRになれば現場に戻ることになり、海外派遣もある。大切な家族のことを考えると、そうたやすくは決められない。家族からも、危険をともなう仕事へ戻る兼下を心配する様子が伝わってくる。それでも、SRのブロアー車に釘づけになっているあたり、兼下のなかには、どうしたってSRに引きつけられてしまうものがあるのだろう。
現場経験のある兼下にとって、SRはずっと目指し続けてきた場所。指令管制員の仕事に誇りとやりがいを持っているが、「死にたくない」という通報者に「大丈夫ですから、頑張ってください」と励ますことしかできないことにもどかしさを感じているのもまた事実だ。
兼下の放った「すぐに助けますから」の声が、指令管制員としてというより、現場の隊員目線で発したように聞こえたのは気のせいだろうか。