「家族の問題は政治的解決が必要」ドラマ『日本一の最低男』プロデューサーが語る、令和のホームドラマの在り方とは? インタビュー

木曜劇場ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)が 3月20日(木)に最終回を迎える。今回は、本作のプロデューサー・北野拓さんにインタビューを敢行。最終回に向けて、香取慎吾&志尊淳のキャスティングや、ドラマのテーマ、作品作りに込めた思いなど幅広くお話を伺った。(取材・文:ふくだりょうこ)

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【著者プロフィール:ふくだりょうこ】

大阪生まれ関東育ちのライター。
大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。
ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。

ホームドラマ×選挙の組み合わせは必然だった

『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』第10話©フジテレビ
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』第10話©フジテレビ

―――今回のドラマの出発点はどういったところだったのでしょうか。

「僕は記者出身なので、ドラマを作る際は社会的な課題と向き合った企画を出すことが多いです。今回はジャンルとしては家族ドラマを入り口にして、どうしたら今の家族の在り方だったり、新しい人間関係を描くドラマが作れるか、というところが出発点でした。ただ、取材していくと、家族の問題を描いたら、どうしたって政治にぶつかってしまう。そこで必然的に選挙ドラマを掛け算することになったという形です」

―――ニセモノ家族編と選挙編に分かれているのが印象的ですが、どういった狙いがあったのでしょう?

「家族ドラマを作る中で、個人の問題も日常の問題も家族や地域の絆とか、個人レベルで解決していい問題ばかりじゃないと感じました。そうすると、やっぱりその奥には政治があるということを描かないと、作り手としては誠実ではないと思いました。とは言え、やっぱり入り口は地上波のドラマなので、間口を広げたいとの思いがあり、国民的なスターである香取慎吾さんのお力をお借りした形です。

香取さんは過去にも『人にやさしく』(2002、フジテレビ系)や『薔薇のない花屋』(2008、フジテレビ系)といったヒット作がいくつもあって、まずは香取さんと子どもの家族ドラマを観たい人にも入ってもらえるように、低い目線から社会的な問題を描いていくことを、特に前半戦は心掛けました。そして、終盤で家族の問題は政治的な解決が必要である、と主人公が実感し、選挙に立候補していくという大きな流れを作る狙いがありました」

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